【最初の授業で何を話すか】1年生、2年生、3年生へ
こんにちは。 中学校国語教員です。
始業式から一週間経った学校も多いのではないでしょうか。
授業準備の時間もなく見切り発車の先生方も多いことと思います。
本当にお疲れ様です…!
先生方の健康と心の余裕が生徒の安心感へとつながります。
・睡眠時間は削らない!
・食事の手を抜かない!
この二つは必ず守ってください。
私は初任の時、夏休みに入った途端に入院しました。
部活の生徒や顧問の先生に多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。
何よりも体が資本です。若くても手を抜かないでくださいね。
さて、今回は中学校の国語【最初の授業で何を話すか】という話をしていきます。
あくまでも今年私が持っていたら…を仮定しているので、参考までにお読みいただけると嬉しいです。
中学1年生に向けて
前提
・つい1週間前までは小学生だった
・担任の先生が学校生活の大半を担っていた
・教科担任制に慣れていない
・最高学年のリーダーを経験してきている
・新しい環境でやる気のある生徒が多い
○学力面の要注意生徒、要配慮生徒は確認しておきましょう。
吃音の生徒、識字が弱い生徒、書くハードルが高い生徒…多様な生徒がいます。
□ 小学校ではどのような対応をしていたのか
□ 保護者・本人からの要望はあるか
□ 管理職と担任に、こう対応しようと思っていると報告相談
この3点を抑えておくことで、生徒・保護者からの信頼を得られやすくなります。
個別の支援ファイルをよんだり、小学校へ電話して確認したり、本人と話ができるなら本人に意思を確認したりして授業に臨みましょう。
○行動面の要注意生徒は初めのうちは様子見をすることが多いので、私はあまり気にしません。
「新しい環境でやる気のある生徒」になっていることも多いからです。
できるだけ早めに認める声掛けをして、味方に付いてもらいましょう。
抑えたいこと
□ 中学生の学習者のイメージを共有
・小学校の授業と中学校の授業で何が違う?
・中学校の授業ってどんなイメージ?
・中学校で勉強して、どんな人になりたい?
などの質問を使い、テンポよく指名発表をしていく。
□ 褒める認める
「なるほど」「そうだね」「そこに気付いたか」「すごい」「○○さんと同じって言ったけど、ちゃんとあなたの言葉になってるよ」「いいね」…などなど
しっかり褒めていきながら、発言を促す。
中学校で勉強するというイメージをクラス内で共有することで、不安も期待も同じだと伝える。
□ 何のために国語を学習するのか
・考え事をするとき、誰かに何かを伝えるとき、言葉を使います。
・たくさんの種類の言葉を知って使えるようになる力を「語彙力」といいます。
・語彙力が強い人ほど、深く広く考えたり、いろんな人の言葉を吸収したりできます。
板書【語彙力:知識技能】という武器を手に入れるため
・言葉の使い方を間違えて喧嘩になったり、言いたいことが伝わらなかったりしたことはありませんか?
・「語彙力」をもっているだけでは人を傷つけることも多いです。
・話すこと、聞くこと、書くこと、読むこと、すべての場面で練習をします。
・考えること、どれを使うか判断すること、どのように使うか表現すること、訓練・練習の場が国語の授業です。
板書【思考・判断・表現】を訓練し、豊かに生きる
・これらのレベルを上げていくためには何が必要か。
・先生が話していることを聞くこと?言われたことをがんばること?もちろん大切です。
・中学生なので、それだけでなく、「自分で判断して課題に立ち向かうこと」も頑張ってほしいです。
・これは、期待できるな、という学年にしか話さないのですが、テストで点が取れたらいい、成績が良ければいい、という集団は、「語彙力」も「思考判断表現」もなかなか伸びません
・お互いに思いやり、認め合い、いろんな挑戦ができる集団が、めちゃくちゃ伸びる集団です。
・思いやることも、認め合うことも、挑戦することも、すべて言葉を使い、人間性を高めていくことにつながるからです。
・みなさんが好きなYouTuber、漫画家、小説家、イラストレーター、いろんな監督、みなさん「語彙力」「思考判断表現」そして「人間性」が優れた人ではないですか?
板書【学びに向かう力・人間性】を高める
・この3つの力を伸ばすために、国語の授業はあります。
・本気で取り組んだ先に、自分の人生を自分の力で造る未来の自分が誕生します。
・1年間頑張っていきましょう。
かなり長くなってしまいましたが。
【語彙力:知識技能】
【思考・判断・表現】
【学びに向かう力・人間性】
というキーワードを示すこと。
国語の目標そのままですが、大人っぽいキーワードなので聞いてくれるかなと思います。
□授業のルール確認
・準備物について(教科書・ファイル・ワーク・タブレット・筆記用具)
・忘れ物について(朝の会終了後~1時間目までの間に相談に来る)
・チャイムで始めてチャイムで終わる(時間を守る)
・人の言動を馬鹿にしない(礼を正す)
・考えることをやめない(自分の価値を高める)
・わからないことは質問する(自分も助かる、人も助かる)
・休んだ時は友達に授業の内容を確認する(頼られる人は学びを確認できるチャンス!)
このくらいかなと思っています。
目標とルールについてはプリントにして配布し、ファイルの表紙裏に貼って、いつでも確認できるようにしています。
皆さんはどんなルールを作って共有していますか?
中学2年生に向けて
前提
・1年間中学生を経験してきている
・慣れ、弛みの学年と言われがち
・先生のキャラクターがわかってきている
・クラス内の力関係ができている
・受験が見えている生徒と遊びたい生徒が混在している
2年生に飛び込みで入るのはなかなか厳しいと言わざるを得ません。
新任の先生、異動したばかりの先生、本当に、細心の注意を払っていきましょう。
新任の先生と異動したばかりの先生は、中学1年生の「前提」と同じことに気を付ければいいかなと思います。
フレッシュな気持ち・様子見の行動で見てもらえている時期に、自分の思いや大切にしたいことを畳みかけましょう。
また、行動面で注意の生徒に、目立たない生徒に、是非声をかけてあげてください。
変わるためのきっかけになるかもしれません。
抑えたいこと
□ 去年までとやり方が違う
これに尽きます。人は変化を嫌い、反発するものです。
しかし、変化を受け入れられないと自分自身が環境についていけなくなり損をします。
なおかつ、現代は変化の時代です。
ソサエティ5.0動画を見せて、この世界で生きていくための力を付けていこう!と呼びかけるのも有効でしょう。
□ 流れ
・ソサエティ5.0動画を見せる
→どんな力が必要だと思う?
→何のために国語の授業が必要だと思う?
・今年からタブレット端末を活用していくこと
→校内ルールがあれば確認する
・成績の付け方が大きく違ってくること
→「知識技能」「思考判断表現」「主体的に学習に取り組む態度」を何で判断するのかあらかじめ伝えておく
・担当の先生が変わればやり方が変わるのは当たり前なこと
→変化を受け入れるしなやかさは私よりかなり上である。
→それは能力であり武器である。
・授業ルールの確認
→1年生と同じことを話す
→人の邪魔をしない、足を引っ張る言動はしない。
→自分の心に火がつかないのは仕方ないが、火がついている人は今が伸び時。
タブレット使用上のルールや、授業ルールについてはプリントにして配布、いつでも確認できるようにファイルの表紙裏に貼ってもらいます。
足りないことがあれば教えてください。
中学3年生に向けて
前提
・最高学年というプライド
・受験が見えてきていて焦る気持ちがある
・受験をあきらめている生徒もいる
・最後の1年間への期待
ここに異動してすぐ配属になる方は、もうベテランさんなのだと思います。
釈迦に説法になってしまうので、あまり語りたくないです。笑
中学3年生は、
人生初の受験に向けてやるぞ!とやる気になっている生徒
まだまだ行事があるから全力で遊ぶぞ!と学校生活エンジョイ勢の生徒
受験もやる気ない、行事も別に…という冷めた生徒
混在していることと思います。
どの生徒も認めつつ、意味のある課題を与え、学力を引き上げていきたいですね。
抑えたいこと
気持ち面
□ 受験からは逃げられない
→高校卒業は資格。
→この資格がないと職業選択の幅が狭まってしまう。
→また、周囲からの見る目も変わってしまう。
→高校卒業資格は日本で生きる上で必要だと私は思う。
□ 準備8割、本番2割
→ゲームのボスを倒しに行くのにレベル上げしない、クリアするために練習しない人はいない
→準備の時間が大切。
→時間だけは全人類に平等に与えられている。
→どう使うかも勉強。
□ 今までの積み上げとここからの積み上げ(質の違い・量の違い)
→今までは世界を広げ、人生を豊かにするための勉強をしてきた。
→受験勉強は、点を取るためのテクニックや慣れが必要になってくる。
→質も量も変わってくるが、どの経験も生きる力になる。
□ 授業でやるべきこと、家庭でできたらすごいこと
→今まで通り、考えることをやめず、恐れず表現してほしい。
→1冊の問題集を覚えるまで繰り返すと効果は計り知れない。
(参考までに。こんなサービスもあります)
齋藤孝先生監修 国語・作文なら「ブンブンどりむ」
無料体験キットプレゼント中!
□ 絶対に見捨てない
→自分が自分の可能性を諦めたからといって、私もあきらめるとは思わないでほしい。
→それぞれの可能性を伸ばすことを、最後まであきらめないし、見捨てない。
→相談があれば乗ります。息切れしたら休憩しましょう。1年間走りぬきましょう。
授業面
□ 評価規準を示す
□ タブレット使用上の注意
□ 授業ルールの確認
まとめ
・各学年の前提を抑えたうえで、伝えることを考える。
・ルールはプリントにしていつでも確認できるようにする。
・学習面で支援が必要な生徒の対応は管理職担任と相談する。
生徒を見くびることも侮ることもせず、一人の人として認め、尊重し、可能性を伸ばす
…これができれば最高なのですが、現実は待ってくれませんね。本当、余裕が欲しい。
生徒と一緒に良い授業が作っていきたいなというスタンスで頑張りましょう!